優れた装着感と、着用を続けていて疲れないというのは、実用腕時計として優秀な要素であり、その点をクリアした本作は、掛け値なしに良い実用腕時計と言える。
この特別感は、やはり江戸切子ベゼルによるものだろう。暗めのグリーン蒸着が施されたサファイアクリスタル製ベゼルは思ったよりも落ち着いた印象ながら、しっかりと江戸切子のカッティングが施されており、他社はもちろん、カシオ製品でもほかにはない独創性を感じられる。ひとくちに江戸切子モデルと言っても、パターンが表現しているものはモデルによって異なり、本作では「海原を力強く進む船の航跡」を表現しているのだという。
両面に切り目を切れることで、奥行きも生み出されている。なお、このベゼルは光の当たる角度が変わると少し青みを見せる。ギリシャ神話に登場する海の神「オケアノス」をネーミングの由来とするこのブランドの、コンセプトカラーである「オシアナスブルー」も楽しめるというわけだ。
サファイアクリスタル製ベゼルは丸型に削り出された後、職人らによって両面に切り目が入れられている。また、このパターンは9時方向へ進む船の航跡がイメージされている。
腕時計の風防以外にサファイアクリスタルを使う手法は、他の時計ブランドでも行っている。一方でこの素材は前述の通り硬度が高いために加工が難しく、こういった製造コストゆえに、販売価格は高額になりがちだ。しかし本作は、手の込んだ職人技をこの高硬度の素材で表現しつつ、20万円台という価格に抑えている(後述するが、しかもチタンを外装に用いて)のだから、感心させられてしまう。ちなみに以前、オシアナスの50周年記念モデルを取材オシアナスのサファイアクリスタルを手掛ける国内メーカーの話を聞いた。開発陣側の難しい提案にも、ポジティブに協力してくれるサプライヤーとのことで、そんな協力者がいるからこそ、この価格で凝ったサファイアクリスタルベゼルを顧客に提供できるのだろう。
すでに何度かオシアナスは着用レビューしていると述べた。特にOCW-S7000SGは、ほんのわずかに厚みが異なるものの、今回の江戸切子モデルと外装や機能は同じで、もう本作が、いかに優れた実用腕時計であるかは、何度も記してきた。
“Elegance, Technology”を標榜し、さらにスリムなケースとブレスレットはサテン仕上げを基調に、ポリッシュ仕上げが稜線やブレスレットのコマのセンターに与えられ、ハイエンドらしい品質を備えるのが「オシアナス マンタ」だ。矢羽根型のコマも、オシアナスの特徴のひとつ。
本作のケース径は42.8mmと、決して小さくはない。しかし厚みは9.8mmに抑えられていることに加えて、チタン製であるがゆえに軽量(ホームページでの総重量は81g、私の手首回り14.7cmに合わせてコマを外した状態では70g)なため、極めて快適な装着感を実現している。全長47.5mmと、大きすぎず私の手首幅に収まることや、ブレスレットのコマ同士の遊びが適切なことも相まって、装着後、すぐに手首になじんだ。
また、このチタンで出来たケースとブレスレットは複雑な造形を持ちながらも角は丸められており、触って指が痛くなるということはない。しっかりと作られている証しである。
カシオウォッチのデザインにおける進化と挑戦を語る際、CMFという用語が出てくる。「C」=「カラー」「M」=「マテリアル」「F」=「フィニッシュ」を意味しており、この3つの要素を追求した製品開発を行っている。本作を見ていると、色、素材、仕上げ、すべてにおいて高品質な出来映えとなっており、このCMFを、そしてCMFに掛けるオシアナス開発陣の情熱を感じ取ることができるのだ。
もちろんソーラー電波ウォッチのため、標準電波が受信できる地域では常に正確な時刻表示をしてくれたり、スマートフォンに専用アプリ「CASIO WATCHES」をダウンロードすれば、Bluetoothで接続して、スマートフォン上でのワールドタイムをはじめとした(ワールドタイムを使う機会は私にはなかったが)各種設定を行えたりすることなども、本作の優れた実用性として挙げられる。
関連リンク:
http://jbbs.shitaraba.net/travel/10877/