本来繊細なアラームウォッチながら、ボール ウォッチらしいタフなスペックを備えた、まさに“使える鳴り物時計”である本作。税込み88万円という戦略的な価格設定も魅力だ。
本作に宿る温かみは、決して無機質な電子アラームでは味わえない。機械式アラームは、日常を少し豊かにしてくれるアイテムなのだ。商業的な勝機がどの程度あるのか、筆者には想像できないが、そんなアラームウォッチの新規開発に踏み切ったボール ウォッチの英断に拍手を送りたい。
本作のアラームは、構造上何時何分ぴったりに設定することはできない。これを不便と取るべきだろうか。筆者の考えは逆だ。そのアバウトさは、ゆったりとした時間の流れを楽しむためのひとつの機能である。叶うならば、スマホを置いてこれ1本を腕に自由気ままな旅に出てみたい。電子の世界から解放され、ゴングを叩く金属質な音で目を覚ますことができたなら、どれだけ清々しい朝を迎えられるのだろうか。
香港の時計市場が鈍化する中、コレクターの多くは、中古時計市場に対して様子見の姿勢を取っている。しかしながら、過去2年間、スモールメゾンの作品の落札価格は比較的安定して推移しており、市場やバイヤーから注目を集めている。
なぜ価格が安定し続けているのか、当初はかなり戸惑っていた。だが、その理由が少しずつ明確になってきたように思える。筆者は時計オークションのマネージャーであるだけでなく、コレクターでもある。そのコレクションの数は多くはないものの、ロレックスやパネライといった主流ブランドから、F.P.ジュルヌやリシャール・ミルなどのスモールメゾンまで対象は多岐にわたる。
奇妙なことに、私がヴィンテージのロレックスを着用していても、まわりの人間はこの趣味を理解はしてくれない。しかしながら、リシャール・ミルやF.P.ジュルヌを腕に着けていると、腕時計に気付き、話しかけるひとがひとりかふたりはいるのだ。
少し前に、あるメディアから「自分のコレクションから、ひとつだけ腕時計を残すとしたら、どれにするのか?」という質問を受けた。迷ったあげく、最終的に決定したのはリシャール・ミルの「RM 005 FM」だった。
複雑機構を搭載しているわけではないが、この腕時計は、装着感が良好で、色も見た目も私の好みにピッタリであり、知名度も高い。ブランドのアンバサダーを務めるテニスプレイヤーを、私が好きだということもこの時計を選んだ理由のひとつだ。
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